ゆるまりカフェ第18稿

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保護者たちのお部屋⑱

 本日のメニュー 勇気をたたえる卒業式~ある母親の奮闘~(後編)

 「ひょっとしたら、Aさんは公演当日来られないかな…」。

昨年12月1日、ミュージカルクラスが挑んだ舞台「見習いウィッチの鏡の魔女完結編」を目前に、私は少し心配していました。

 

降板したお子さんのことがよぎり苦しくなるのでは、と懸念したからです。

 

Aさんの気持ちは想像以上に力強かったの!! 

当日も宣言通り裏方として働いてくださり、生徒ちゃんの活躍を全力で後押ししてくれました。

 

上演後、出演した生徒ちゃんたちの卒業式を開催しました。

そうだ!!「合わせて、Aさんの思い、行動、努力をたたえたい」とひらめいた私。

急遽「エア感謝状」を用意して読み上げました。

「あなたはお子さんが降板したにもかかわらず、できることを精いっぱいやってくれました。迷い、揺らぎを乗り越えて、できることをしてくださることが大きな励みになりました」という趣旨のことを伝えたと思います。

 

感謝状を受け取り、スピーチしたAさん。

「苦しかったです」と切り出して、「今日ここに来ることに勇気が必要でした。

も、応援したい気持ち、成功してほしい気持ちがいっぱいで、一歩を踏み出さなかったら、後悔すると思って来ました。

こんなにも温かくて素敵な場所で育てていただいたことを改めて感じ感謝です」と胸の内を明かしてくれました。

深く自分自身と向き合い、自分のため、子どものため、プラスドリーム(以下、プラドリ)のために諦めなかったAさんの言葉は、ほかの保護者の方々の心に刺さり、涙と拍手に包まれました。

もちろん、私も大泣き。

 

今、学校に行けない子どもがたくさんいます。

Aさんはあくまで一例。

自分自身を責め、罪悪感に苛まれる多くの保護者の痛みに触れ、私も胸が張り裂けそうになります。

大きい声をもっと張って伝えたい!!「罪悪感を持つ必要は全くない」「絶望しないで」って。Aさん同様、自分のことを大切にしてほしい、自分の人生や、やりたいことにも目を向けて生きてほしい―。

「学校」にこだわる考えの軸、生活、目線をちょっとずらし、変化の風を入れることで、心はきっとほぐれると思うから。

 

最後に、Aさんが私に伝えてくださったことがあります。

「子どもがドン底のときは一緒になって落ち込んでしまいますが、ほんの少しずつでも距離を置きながら、自分の時間を持つこと、自分を解放してあげる時間はとても大事だと思いました。そして、子どもの興味があることを一緒に楽しんで共感することが必要だったようです」。 

「『否定せずに認めて面白がること…』。これはプラドリで教わっている大切なことなんです」。

 

「子どものために」と突っ走ってきたプラドリですが、私自身は今回の経験を通して、疲れた大人や明日が見えないと沈む保護者にとっても「居場所」になれるならとってもすてき!!と実感しました。

大人だって、家族以外に心の内を吐き出せる、仲間と喜びや悲しみを分かち合える、そんな「場」が必要。

プラドリや「ゆるまりカフェ」がそういう場になれたらなぁ~と新年の誓いっぽいことを思いました♡

 

追伸 Aさんはその後、着付けの試験に合格されて、資格を取得されました

子どもたちのお部屋⑱ 

本日のメニュー 自分プロデュースの発表会

 ドキドキ、ドキドキ♡♡ 

毎年恒例、クリスマス時期のピアノの発表会は、1人の生徒ちゃんが総合プロデュースと司会の大役をつとめます。

これまで年齢順に決めていたのだけど、昨年は初めて応募制にして、最年少の中学2年生Yちゃんに決定し!!(パチパチ♪) 曲順の決定から曲紹介まで全てYちゃんの手にかかっています。

前回話した大きな目標の実現のために、小さな目標を一つずつクリアしていく方法で、発表会に備えました。

 

準備にかけるのは1週間!!

まずどんな発表会にしたいのか、Yちゃんの思いを聞きます。

例年4時間にもわたる発表会、一昨年はお休みなしのノンストップで行いまいした。

Yちゃんは「絶対休憩(けい)を入れたい」とこだわりしました。

全5部のうち、2部の終了後に休けいの時間を設けました。

「座っておしりが痛かった人、背伸びをしたかった人は思い切ってしてください」と司会でうながしたYちゃん。「らしさ」をはっきしてくれました。

 

曲順決めと、曲の紹介文をつくることも大きな仕事です。

ノートを用意し、左側にプログラムを書いて、右側にどんな紹介文がいいか考えてもらいます。

講師として向き合った私からその生徒ちゃんがどんな風に練習してきたか、どこが大変だったかを伝え、具体的な言葉にしていきます。

短い時間での紹介なのでコンパクトにするのも大変(汗)。

観客の立場で聞いたらどう感じるかも想像し、考えては書き直しの連続でした。

 

どれだけ準備しても、当日予期せぬことは起こるもの。

体調不良で欠席者が続出して、プログラムは変更、司会の言葉も変えなきゃとなりました。

私はYちゃんの横でサポーターとして見守り隊です。

舞台裏で相談して、欠席をどう伝えたらいいかを決めてもらい、最初におことわりを入れるよう修正しました。

あせりながらも、立派に対応したYちゃんは司会をやりとげてくれました!!(パチパチ♪)。

観客の保護者の方からは「急な対応もすばらしかった」とほめられたし、自分が予想していないところでも「いいね!」をもらったYちゃんは、多くの事に気付いたよう。

自分の言動がどう他人に映るのか、という新たな視点も手に入れたみたい。

たった1週間で、驚くほど成長したYちゃんを見て私もすがすがしい気持ちに♪ 

だから、挑戦っておもしろい☆